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【マビック(7/20更新)】
山口和幸の現場30周年ルポ #14
ツール・ド・フランス2019の開催期間中、SNSでツール・ド・フランス現地レポートをお届けしている、ライターの山口和幸さんのミニコラムをHPにてご紹介します!
現地で取材をして今年で30周年となる山口さんならではのコラムをお楽しみください!
マビック (7/20)
各チームは2台のサポートカーで選手団を追従することが許されていて、パンクなどの機材故障に対応する。こうしたチーム所属のサポートカーとは別に、黄色いボディのサポートカーが走っている。これがチームの分け隔てなく公平に機材故障に対応するという使命を持ったニュートラルアシスタントカーだ。
フランスの自転車パーツメーカー、マビック社が大会に協力するもので、フランス語で「黄色いクルマ」という意味の「ボワチュールジョーヌ」と呼ばれて親しまれている。オートバイ型の「モトジョーヌ」もマビックが走らせているもので、その役割は同じだ。
ボワチュールジョーヌは運転手のほかに後部座席に敏腕メカニックが乗車し、いつでもトラブルに対応できるように待ち構えている。クルマの屋根には交換用の車輪と自転車がズラリと搭載されているのだが、チームによって使用するパーツメーカーが異なるので、全チームの使用機材の互換性を頭の中にたたき込んで、瞬時に対応できるようにしているのがスゴい。
彼らの出番は必ず車載無線で指示される。
「ボワチュールジョーヌ、先頭集団で○○チームの選手がパンク!」
指示が入るや、「あのチームの後輪はカンパニョーロの11段変速だ」などと判断し、現場に急行するや適合する車輪を選択して交換する。
車輪の交換はひんぱんにあるが、ボワチュールジョーヌがルーフに積んだ自転車そのものを交換することはあまりない。使用するペダルの形状がチームによってバラバラで、これに選手の体格によってフレームサイズの違いが加わるからだ。1秒を惜しんで前を走る集団に追いつきたい選手を前にして、ペダルを交換しているなんてヒマはない。こういった場合はチームカーの到着を待つのがほとんど。
助手席にはスポンサーなどのVIPが乗る。ボクもマビック社の招待で2度乗せてもらったことがあるが、あまり意味もないのに選手に接近してその迫力を見せつけるなど、経営上の接待という側面がかなり強い。
競技のうえでなくてはならない存在なのかもしれないが、同時進行で社交が展開されている。このあたりが伝統に裏打ちされた文化の香り。
ライター/山口 和幸 Kazuyuki Yamaguchi
ツール・ド・フランス取材歴30年のスポーツジャーナリスト。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に講談社現代新書「ツール・ド・フランス」。大会期間中は、Twitter(@PRESSPORTS)やホームページで現地情報を発信。
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