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【ヘリコプター(7/24更新)】
山口和幸の現場30周年ルポ #17

19/07/24その他

ツール・ド・フランス2019の開催期間中、SNSでツール・ド・フランス現地レポートをお届けしている、ライターの山口和幸さんのミニコラムをHPにてご紹介します!
現地で取材をして今年で30周年となる山口さんならではのコラムをお楽しみください!


ヘリコプター (7/24)

ツール・ド・フランスの沿道で待ち構える観衆のボルテージは選手が近づくにつれて高まっていく。交通規制された道を関係車両だけが慌ただしく走り去り、憲兵隊のバイクがにらみをきかせながら悠然と通過していく。1時間前には派手な音楽を鳴らした広告キャラバン隊が。そしてレース展開を伝えるアナウンス車。報道車両。カメラマンバイク。露払い役のテットドクルス(先導車)…。

興奮のボルテージは一気に高まり、そして最高潮に達するのが、先頭選手の上空を旋回するヘリコプターの爆音を聞いたときだ。すぐに必死の形相でゴールを目指す第一集団が視界に飛び込んでくる。これがツール・ド・フランスの特徴的なシーンなのだ。

ヘリコプターはツール・ド・フランスの運営になくてはならない機材だ。憲兵隊、フランス警察、消防、医療サポートに加え、空撮カメラ、バイクからの撮影映像を受信して基地局に飛ばす役目のヘリも飛ぶ。ツール・ド・フランスとともに20機ものヘリが常に上空を旋回するのである。

広大な原野を持つフランスでは日本と違ってヘリが身近な存在だ。飛行場やヘリポートでなくても、ちょっとした牧草地に離発着できる。規制が緩いのかもしれないが、それだけ原っぱが多いのだ。テレビの人気番組でもヘリを何台も飛ばして宝探しをするものがある。チャーター料そのものが安いのかもしれない。

山岳の頂上ゴールで優勝したり、マイヨジョーヌを着た選手を、表彰式やアンチドーピングコントロールを済ませた後にホテルまで送り届けるのもヘリの役目だ。眼下に大渋滞の車列をながめながら、勝者は真っ先に下山できるのである。

ヘリの弱点は悪天候時に飛べないこと。こうなるとバイク撮影の国際映像が受信できないのだが、主催社は万全の対策を講じている。専用飛行機を雨雲の上に巡航させて、バイク映像をキャッチしているのだ。土砂降りのステージでも日本で生中継が楽しめるのはこのおかげだ。


フランスのヘリはどこにでも着陸する。テニスコートも臨時ヘリポート

ライター/山口 和幸 Kazuyuki Yamaguchi

ツール・ド・フランス取材歴30年のスポーツジャーナリスト。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に講談社現代新書「ツール・ド・フランス」。大会期間中は、Twitter(@PRESSPORTS)やホームページで現地情報を発信。

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