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【PPO(7/16更新)】
山口和幸の現場30周年ルポ #11
ツール・ド・フランス2019の開催期間中、SNSでツール・ド・フランス現地レポートをお届けしている、ライターの山口和幸さんのミニコラムをHPにてご紹介します!
現地で取材をして今年で30周年となる山口さんならではのコラムをお楽しみください!
PPO (7/16)
町から町へと転々とするツール・ド・フランスは、23日間とどまることなく移動を続ける特異なスポーツだ。主役は自転車で走る176人。それ以外のほとんどはクルマで追従する。その数およそ3,000台。
スタートの町には大小さまざまな関係車両が集結する。黄色いステッカーを貼ったチームカーや審判車、緑色のプレス、ピンクの広告キャラバン隊、水色はそれ以外の関係車両。大型車両やスポンサーはコースに入れないオレンジ色だ。
さまざまな役目を持つこれらの車両を円滑に制御するために関係車両の動きは完璧にコントロールされている。
スタート地点にはPPOという通過義務地点がある。前日にどこに泊まっていようとも、翌朝はまずここを通らなければならない。数人の若い車両スタッフが朝から待機していて、その役職や動きに応じて適切な場所に駐車させる。繁華街の限られたスペースに3,000台の関係車両を見事に振り分けるのだからたいしたものだ。
移動する巨大イベントが作り出したPPO。その必然性を理解するまで、だれもが面食らう存在だろう。
例えば皇居前からスタートするからといって、大手町から入ろうとしてもダメ。首都高速の環状線に乗って新宿に向かい、新宿通りを使って四谷・半蔵門とたどっていかなければスタート地点に入れてもらえないのだ。
なんでこんな難しいことをするかといったら、フランス独特の町の作りに起因する。心臓部に教会があってマルシェがあって、かつて城郭があったところに環状線を備える。文化と歴史、伝統と宗教を理解しないと、このレースは会場までだって絶対にたどり着けない。
スタートの町で見事な腕前を披露した車両スタッフは、全員を送り出した後、ゴールを見ることもなく翌日のスタートの町へ行く。PPOを設置して、そこから3,000台をどうやってさばくか決めていく。選手たちも世界各国から集まったプロだが、彼らの仕事もプロフェッショナルだ。

関係車両が次々と集まり、スタートの町のボルテージが高まっていく
ライター/山口 和幸 Kazuyuki Yamaguchi
ツール・ド・フランス取材歴30年のスポーツジャーナリスト。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に講談社現代新書「ツール・ド・フランス」。大会期間中は、Twitter(@PRESSPORTS)やホームページで現地情報を発信。
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