ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムとは?
~駅至近で目撃できる世界最高峰レースの真髄~
©A.S.O
23日間をかけて真夏のフランスを駆け巡る男たちがいる。1日が終わって首位となった選手は黄色いジャージに袖を通す。最終到達地のパリ・シャンゼリゼでそれを獲得した者が地上で最も強い男となる。黄色いジャージはフランス語で「マイヨジョーヌ」。ツール・ド・フランスはこのたった1枚しかないマイヨジョーヌを争う自転車レースとも言える。
さて、アルプスやピレネーの難所を乗り越えて所有者が最終決定したマイヨジョーヌだが、もちろん総合優勝者が栄冠の象徴として母国に持ち帰ることこそあれ、フランス国外に公式に持ち出されることはなかった。ところが2013年。このときはツール・ド・フランス第100回大会という節目だったが、マイヨジョーヌがついに海を渡った。目的地は日本のさいたま市。ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムが誕生したのである。
7月のフランスで全21ステージ(区間)が行なわれ、最終日のパリでマイヨジョーヌ着用者が決定する。その年の秋、マイヨジョーヌをはじめとして、大会で大活躍した選手たちが集結し、コンパクトな都市型周回コースを激走するスペシャルレースが誕生した。ツール・ド・フランス主催者がそんなイベントを世界で初めて考えたのである。
当時の主催者コメントを思い返してみよう。
「これはまさにツール・ド・フランスの第22ステージと呼ぶにふさわしいほどの象徴的な、移動や時差を卓越したイベントです。ツール・ド・フランスは毎年フランス本土で開催されてきましたが、新たな冒険を求めて、ごく自然なかたちで国境を越えたのです。
単なるレースにとどまらず、日本の伝統と融合して新たな出会いや夢へと誘うものです。欧州の遺産とツール・ド・フランス文化がシャンゼリゼから1万キロものかなたへ。その大胆さこそ、これからのツール・ド・フランスなのです」
こうして2013年に始まったさいたまクリテリウムは、コロナ禍の2020・2021年に中止を余儀なくされたが、2026年で12回目の開催を迎える。今回のスケジュールはまず、ツール・ド・フランスそのものが7月4日にスペインのバルセロナで開幕し、26日にパリにフィニッシュする。国際映像に映し出されたトップ選手らがやってきて、さいたま新都心を走るのはこの秋だ。
舞台はさいたま新都心の高層ビル群。7月のツール・ド・フランスを観戦するには半日かけて歩いたりしてコースにアクセスする必要があり、しかも選手はあっという間に通り過ぎていく。ところがクリテリウムは距離の短い周回コースが設定されるので、駅至近のコース脇に立てば世界最高峰のスピードが何度も味わえる。GMOアリーナさいたま(さいたまスーパーアリーナ)の改修工事に伴い、アリーナ内を通過するコースではなく外周をコースとして使用するので、これまでとは異なるレース展開になるかもしれない。
@Yuzuru SUNADA
テレビ観戦とは異なるツール・ド・フランスの雰囲気。フランスのにおいやテイストを感じるために、ぜひ沿道に足を運んでみよう。
文 山口和幸=ツール・ド・フランス取材記者

