ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム

NEWS & TOPICSお知らせ

[CULTURE - 文化 - ]開幕地コペンハーゲンは世界一のサイクルシティ
山口和幸の現地通信 #1

22/7/1

ツール・ド・フランス2022の開催期間中、SNSでツール・ド・フランス現地レポートをお届けしている、ライターの山口和幸さんのミニコラムをHPにてご紹介します!
CULTURE(文化)、HISTOIRE(歴史)、VOYAGE(旅)の3つのテーマでランダムにお届けします。
コラムを読んでいるだけで現地を旅する気分が味わえます。
長年現地でツール・ド・フランスの取材をしている山口さんならではのコラムをお楽しみください!


Twitterでは山口さんの現地レポートをお届けしていますので、こちらもお楽しみに! https://twitter.com/saitamacrite


[CULTURE - 文化 - ]開幕地コペンハーゲンは世界一のサイクルシティ

「人口580万人のデンマークは10人に9人が自転車を所有しているんです。サイクリングは趣味や移動手段にとどまらず、もはや生活様式。老いも若きも、学校に通う子どもたちも王子や首相も自転車に乗っています。全国には総延長1万2000kmの自転車専用道と自転車レーンがあるからです」

これはツール・ド・フランス公式サイトで2022年大会の開幕地、デンマークの首都コペンハーゲンを紹介したニュースに掲載された文章(要約)だ。

コペンハーゲンは名実ともに世界一のサイクルシティだ。「コペンハーゲンインデックス」という、自転車フレンドリーな街の世界ランキングがある。2019年の順位でコペンハーゲンは自転車王国オランダのアムステルダムを抜いて1位になった。ちなみに東京は16位。

オランダと同様に、地形が平らなので自転車が利用しやすいという地盤もある。しかしここ最近で自転車利用の環境整備が急速に進んだ背景に、地球温暖化対策が挙げられる。

2025年にカーボンニュートラルを目指すデンマーク。首都であるコペンハーゲンはここで環境都市を旗印に掲げ、地球温暖化対策の中核として自転車に快適なまちづくりにシフトする。木々の緑と澄んだ空気がある都市を目指していく。

まずやったことは自転車の走るところを整備した。快適に走れるようになるといいことばかりに気づいた。市民の健康に寄与、自転車のある現代的ライフスタイルの快適さ、道路整備することによる安全性、もちろん経済性。現在、市民のほとんどは自転車利用によって「自分たちの街がすばらしい」という自覚を持っているという。

コペンハーゲン市内では朝の通勤通学時間となる午前中は、自転車を時速20kmで走らせていくと赤信号にひっかからないように調整されているという。冬でも降雪はあまりない地域だが、いざ雪が降ったときは自転車専用道とレーンの除雪が最優先で行われる。

コペンハーゲンでは、単にカーボンニュートラルを目指すだけではなく、自転車を活用した質の高い暮らしや魅力ある都市を実現しようとしている。だから世界一なのだ。

国土交通省の「自転車交通(H26政策レビュー結果)」によれば、移動の交通手段別構成比を国別に見ると、自転車利用率の1位はオランダで27%、2位はデンマークの19%、そして3位は日本の13%(2020年の数値)と、実は日本は自転車利用率が高い。それでは自転車を取り巻く環境はどうなのかといったら、まだ改善すべきポイントは多くある。

日本における各都市の自転車通行のありかたの参考になることは必至。そういった意味でも、世界一のサイクルシティで開幕するツール・ド・フランスは必然で、109回の歴史の中でも大注目だ。

©Terry Mclaughlin

©Thomas Rousing

©Daniel Rasmussen

©Daniel Rasmussen

©Terry Mclaughlin

©Giuseppe Liverino @tourbillondel

プロフィール

ライター/山口 和幸 Kazuyuki Yamaguchi
ツール・ド・フランス取材歴30年のスポーツジャーナリスト。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に講談社現代新書「ツール・ド・フランス」、「シマノ〜世界を制した自転車パーツ〜堺の町工場が世界標準となるまで」(光文社)。