ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム

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The RACEレース

レースの見どころ

タイムトライアル

距離約3.1kmのタイムトライアルコースで、国内外プロチームは4人編成のチームタイムトライアルを、女子・男子ジュニア・パラサイクリング選手は個人タイムトライアルを行い、その所要タイムを競う。

2022年の優勝タイムはチームタイムトライアルが3分48秒50(平均時速48.947km)、個人タイムトライアルが4分13秒53(平均時速44.111km)だ。

コースは直線路をベースに、直角コーナーとUターンが組み込まれる。線路アンダーパスのダウン&アップがあるものの、世界トップ選手にかかればコースは難しいものではなく、ハイペースな勝負になるはず。

さいたまスーパーアリーナの周りを走行する選手達

チームタイムトライアルではクリテリウムメインレースと同じノーマルタイプのロードバイクを使用。空気抵抗の大きい先頭を交替しながら走るフォーメーションが見どころ。一方、女子・男子ジュニア・パラサイクリング選手が出場する個人タイムトライアルではタイムトライアル専用バイクの使用が認められている。

個人タイムトライアルレースでトップタイムを記録した、男子ジュニア選手の鎌田晃輝

注目したい選手・チームは、個人タイムトライアルの欧州チャンピオン、ジョシュア・ターリングを擁するイネオス・グレナディアーズ。ユンボ・ヴィスマもタイムトライアルに強いアッティラ・ヴァルテルとヤン・トラトニクを擁する。そして2022年に同種目を制しているクリストファー・フルーム(ツール・ド・フランス クリテリウムレジェンズ)はだれよりも真面目に走るはずで、ペーター・サガンやマーク・カヴェンディッシュをどこまで牽引するか期待。

チームタイムトライアルレースを制したイスラエル・プレミアテック

個人タイムトライアルでは、トラック種目の3km個人パーシュートと500mタイムトライアルで世界タイトルを持つ杉浦佳子に注目。2020東京パラリンピックでは金メダル2個を獲得。障害というハンデを持ちながら超人的なスピードで走る姿を目撃したい。

世界で活躍するパラサイクリング選手の杉浦佳子


クリテリウムメインレース

7月のフランスで大活躍した選手たちが来日し、1周約3.5kmのサーキットコースを17周して着順を競う。最後のフィニッシュラインをトップで通過した選手がツール・ド・フランスさいたまクリテリウムの優勝者となる。

クリテリウムではレース展開をよりエキサイティングなものにするため、さまざまな賞が設定されている。さいたまクリテリウムでは7月のツール・ド・フランスと同様に、規定周回ごとに与えられる得点の合計で争うポイント賞や山岳賞、さらには新人賞、チーム賞、敢闘賞などがある。

敢闘賞を獲得した新城幸也

さいたま新都心に特設されたコース沿道には本場フランスから持ち込まれた本場の施工物が掲出される。選手と一緒に来日する主催者もツール・ド・フランスを運営する社員たちだ。沿道での観戦は無料で、場所を確保すれば目の前を何度も選手たちが通過するシーンを目撃することができる。これがクリテリウムのいいところで、コーナーなど場所によっては1周につき3回もレースシーンを目撃できるという。

ツール・ド・フランスで使用される施工物や備品がフランスから持ち込まれる

出場選手は豪華な顔ぶれだ。ツール・ド・フランス総合優勝者はなんと3選手。2013、2015、2016、2017年のクリストファー・フルーム(ツール・ド・フランス クリテリウムレジェンズ)、2019年のエガン・ベルナル(イネオス・グレナディアーズ)、そして2020、2021年のタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)。史上最多タイ記録となるステージ34勝のマーク・カヴェンディッシュ(ツール・ド・フランス クリテリウムレジェンズ)も参加。世界選手権を3度制したペーター・サガン(ツール・ド・フランス クリテリウムレジェンズ)はロード選手としてはラストレースとなる。

過去に出場したさいたまクリテリウムで観客を沸かせていたペーター・サガン

レースでは特別のジャージを着る選手たちに注目しておきたい。タデイ・ポガチャルが着る新人賞ジャージ、ジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック)の山岳賞ジャージは本物。セップ・クス(ユンボ・ヴィスマ)は運営団体が同じブエルタ・ア・エスパーニャの赤いマイヨ・ロホを着用して走ることが期待される。

新人賞と山岳賞のジャージを着用して参加する、タデイ・ポガチャル(左)とジュリオ・チッコーネ(右)
©ASO/Pauline Ballet

2022年大会の優勝タイムは1時間23分44秒、平均時速42.635km。本場のツール・ド・フランスでは23日間にわたって日々順位が入れ替わり、1日5時間にもおよぶ過酷なレースに一喜一憂するものだが、それらが1時間23分の中に凝縮された戦いを目の当たりにすることができるのがさいたまクリテリウムの魅力だ。

だから当日はぜひ沿道で。選手団が巻き起こす風圧で帽子が飛ばされないように。


文 山口和幸=ツール・ド・フランス取材記者