ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム

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[HISTOIRE -歴史-]最終日前日のタイムトライアル
山口和幸の現地通信 #20

22/7/23

ツール・ド・フランス2022の開催期間中、SNSでツール・ド・フランス現地レポートをお届けしている、ライターの山口和幸さんのミニコラムをHPにてご紹介します!
CULTURE(文化)、HISTOIRE(歴史)、VOYAGE(旅)の3つのテーマでランダムにお届けします。
コラムを読んでいるだけで現地を旅する気分が味わえます。
長年現地でツール・ド・フランスの取材をしている山口さんならではのコラムをお楽しみください!


Twitterでは山口さんの現地レポートをお届けしていますので、こちらもお楽しみに! https://twitter.com/saitamacrite


[HISTOIRE -歴史-]最終日前日のタイムトライアル

ディレクション・ア・パリ。いざパリへ。なんてしみじみとする言葉なんだろう。進行方向に「パリ」の標識が見えると、それは本当に感慨深くて目頭が熱くなってしまう。クルマに乗って追いかけるボクでさえ、ゴールはこの先にあるんだと感慨にふけることができるのだから、選手はどんな気持ちなんだろう?

最終日前日は総合成績をほぼ確定させる個人タイムトライアルが行われる。このタイムトライアルが終われば選手もチームスタッフもその年のツール・ド・フランスは「セ・フィニ(終わり)」だ。

ゴール地点のサルドプレスで総合優勝者が最後の記者会見を行うのがその証拠。まだ1日あるのだが、これは恒例だ。取材記者もそれをもとに総括原稿に取りかかる。選手はその夜、もう戦いは終わったものとしてビールやワインを飲むし、脂肪分の多いカルボナーラやハンバーグも口にするという。

こうして選手は最終日のお昼過ぎにちょっと二日酔い加減で近くの空港に送迎され、一気にパリへ。しかしながら機材車両を運転するチームスタッフ(スペインチーム除く)やその他の関係者は800kmの陸路移動である。チームスタッフは前夜に移動をしてパリへの途中で一泊することも多い。つまりその日はもうマッサージもないのである。

そして最終日のジャーナリストはみんなシャンゼリゼのサーキットを楽しむひまもなく原稿書きに追われる。パリ市内のオフィスで作業する人も多いのでサルドプレスの記者はもはやまばらだ。

前日までカーゴパンツで動き回っていた女性スタッフがスカート姿になるのも恒例。フランス人にとってもパリは特別な町。すべての選手と関係者が最終到達地とするパリはそんな存在なのである。

ツール・ド・フランス2021第20ステージ
©A.S.O. Charly Lopez

プロフィール

ライター/山口 和幸 Kazuyuki Yamaguchi
ツール・ド・フランス取材歴30年のスポーツジャーナリスト。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に講談社現代新書「ツール・ド・フランス」、「シマノ〜世界を制した自転車パーツ〜堺の町工場が世界標準となるまで」(光文社)。