ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム

  • 株式会社 イオン
  • 株式会社 エコ計画
  • カネカ
  • クリーン工房
  • 埼玉トヨペット株式会社
  • TSP太陽株式会社TSP太陽株式会社
  • 株式会社ヒト・コミュニケーションズ

NEWS & TOPICSお知らせ

[HISTOIRE -歴史-]ラルプデュエズ、ツール・ド・フランス最高の舞台
山口和幸の現地通信 #12

22/7/14

ツール・ド・フランス2022の開催期間中、SNSでツール・ド・フランス現地レポートをお届けしている、ライターの山口和幸さんのミニコラムをHPにてご紹介します!
CULTURE(文化)、HISTOIRE(歴史)、VOYAGE(旅)の3つのテーマでランダムにお届けします。
コラムを読んでいるだけで現地を旅する気分が味わえます。
長年現地でツール・ド・フランスの取材をしている山口さんならではのコラムをお楽しみください!


Twitterでは山口さんの現地レポートをお届けしていますので、こちらもお楽しみに! https://twitter.com/saitamacrite


[HISTOIRE -歴史-]ラルプデュエズ、ツール・ド・フランス最高の舞台

1989年の初取材でいきなりツール・ド・フランスの大舞台といわれるラルプデュエズを訪れることができた。アルプスのど真ん中にあるスキーリゾートで、距離11kmの沿道を当時は数十万の大観衆が埋め尽くすことで知られていた。

屹立するアルプス大岸壁にジグザグの道をつけ、一気に標高1,860mまで駆け上がる。平均勾配は8.6%で、部分的にローギヤでもエンストしそうな激坂がある。

ふもとのブールドワザンからゴールまでは21カ所のコーナーがあって、数字がふられている。選手たちは「21、20…」とカウントダウンしながらゴールを目指すのだ。恐ろしいことに、上りはじめから最初のコーナーまでがかなりキツい。自転車で意気揚々と応援に駆けつけたファンが「21」の数字の前で足を着くのはよく見る光景だ。

ラルプデュエズには世界各国からファンが集まってくる。彼らは必然的に特定のコーナーに集結するようになり、応援のボルテージを高める。オランダコーナーはナショナルカラーのオレンジに染まり、デンマークコーナーはバイキング族に占領される。アルコール臭いコーナーもある。いつの日かニッポンコーナーができたら、どんなにうれしいことか。

晴天率が高く、空気は涼冷。ゴール近くのホテルでは、Tシャツ姿でスキー板を抱えた観光客に出くわすことも。もしツール・ド・フランスを観戦したいと希望するなら、間違いなくラルプデュエズをおすすめしたい。

ゴール後は大観衆が一気に下山するので大渋滞する。そのためゴール付近に宿を確保するのが正解。かつては観光局にお願いして、滞在型アパートを間借りするなどしていた。キッチンが付いているので食材を買い込んで料理を作る。下山で連なるクルマのテールランプをながめながら飲むワイン。つかの間のバカンス気分にひたれる。

熱狂的なファンが沿道を埋め尽くすラルプデュエズ
©A.S.O.

プロフィール

ライター/山口 和幸 Kazuyuki Yamaguchi
ツール・ド・フランス取材歴30年のスポーツジャーナリスト。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に講談社現代新書「ツール・ド・フランス」、「シマノ〜世界を制した自転車パーツ〜堺の町工場が世界標準となるまで」(光文社)。