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2024年のツール・ド・フランスはパリに凱旋しない
ツール・ド・フランスの基礎知識 #20

23/7/22

ツール・ド・フランス2023の開催期間中、SNSでツール・ド・フランス現地レポートをお届けする、ライターの山口和幸さんのミニコラムをHPにてご紹介します!
今年のテーマは、「ツール・ド・フランスの基礎知識」。星の数ほどある伝説のストーリーから、テレビに映らない舞台裏まで。
現場取材30年の記者が21ステージにわたってコラムを連載します。
長年現地でツール・ド・フランスの取材をしている山口さんならではのコラムをお楽しみください!


Twitterでは山口さんの現地レポートをお届けしていますので、こちらもお楽しみに! https://twitter.com/saitamacrite


2024年のツール・ド・フランスはパリに凱旋しない

ツール・ド・フランスのフィナーレは花の都パリが誇る世界有数の目抜き通り、アベニュー・デ・シャンゼリゼだ。ナポレオンの勝利を記念して建造されたエトワール凱旋門をグルリと周り、メトロで4駅目のコンコルド広場を貫通。セーヌ川沿いを駆け抜け、チュイルリー公園を回るためにルモニエの地下道を通って反対側のリボリー通りへ。再びコンコルド広場を突き抜けて上り坂となったシャンゼリゼにゴールする。

1周6.8kmのぜいたくなサーキットコースだ。フランス一周の旅の果てに、大観衆で埋まるこのシャンゼリゼを合計8周してフィナーレの瞬間を迎えるのである。

ツール・ド・フランスのゴールがシャンゼリゼに設定されたのは実は最近だ。1903年の第1回大会はパリ郊外のビルダブレだった。第2回からパルク・デ・プランスにゴール地点が移動。現在はプロサッカーチームのPSG(パリ・サンジェルマン)が拠点とするサッカー場だが、その当時は自転車競技場だった。

2度の大戦を経て1966年まで最終ゴール地を務めたパルク・デ・プランスは、1967年からバンセンヌにバトンタッチ。パリの東にあるこのエリアは西側のブローニュとともに森林公園として親しまれているところだ。

そしていよいよ1975年からシャンゼリゼへ。ツール・ド・フランスのフィナーレはもうここしかないというくらいに定着した。コンコルド広場の一角には選手たちの家族やチームのスポンサーなどが陣取り、3,600kmの旅の果てに凱旋するヒーローたちを待ち構える。

そして2024年は、120年の歴史で初めて、最終到着地がパリでなくなる。2024年に開催される第111回大会は地中海沿岸のニースに終着する。ツール・ド・フランスが終了して5日後の7月26日にパリ五輪が開幕するからである。五輪直前の大通りを封鎖することになれば人や物の流れがマヒする。五輪組織委員会からの要請によってツール・ド・フランスは日程を1週間前倒しするとともにパリを離れ、話題性醸成とともにニース凱旋を英断したのである。


エトワール凱旋門

プロフィール

ライター/山口 和幸 Kazuyuki Yamaguchi
ツール・ド・フランス取材歴30年のスポーツジャーナリスト。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に講談社現代新書「ツール・ド・フランス」、「シマノ〜世界を制した自転車パーツ〜堺の町工場が世界標準となるまで」(光文社)。