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[CULTURE - 文化 - ]ランフェル・デュ・ノール=北の地獄
山口和幸の現地通信 #5

22/7/6

ツール・ド・フランス2022の開催期間中、SNSでツール・ド・フランス現地レポートをお届けしている、ライターの山口和幸さんのミニコラムをHPにてご紹介します!
CULTURE(文化)、HISTOIRE(歴史)、VOYAGE(旅)の3つのテーマでランダムにお届けします。
コラムを読んでいるだけで現地を旅する気分が味わえます。
長年現地でツール・ド・フランスの取材をしている山口さんならではのコラムをお楽しみください!


Twitterでは山口さんの現地レポートをお届けしていますので、こちらもお楽しみに! https://twitter.com/saitamacrite


[CULTURE - 文化 - ]ランフェル・デュ・ノール=北の地獄

2014ツール・ド・フランスは開幕から3日間を英国で過ごし、ドーバー海峡を渡って4日目に北フランスのリールに、5日目にベルギーのアランベールにゴールした。この2区間は総合優勝をねらう有力選手がこぞって警戒していた。

「パベ」と呼ばれる石畳みの悪道が波状的に出現し、落車やパンクで栄冠をたやすくフイにしてしまうからだ。

パベは毎年4月に開催される伝統の一戦パリ〜ルーベの代名詞であり、「ランフェル・デュ・ノール=北の地獄」という恐ろしい別名で知られている。パベはクルマ1台分の幅しかない農道に敷き詰められているのだが、町中で見かけるような整然としたものを想像したらとんでもない。石畳はめくれ上がり、大きな穴が空き、畑からの土砂もいたるところに流れ込んでいる。プロ選手たちはこのデコボコ道を時速40km以上のスピードで全身ホコリまみれになりながら突き進んでいくのだ。

この石畳の悪路は、ナポレオン統治以前の建造物として知られ、第一次世界大戦で爆撃されたという歴史的遺物。ふだんは耕耘機などが往来する道で、とうていロードバイクが走ることなど想定されていない。主催者はそんなルートをわざと組み込んで選手を試す。

パベ区間は車両の進入が著しく制限される。チームのサポートカーもこの区間は走れず、各チームのメカニックはオートバイの後部座席に前後のホイールを左右の手に持って伴走するか、要所に立って待ち構えるのである。

そんなルートで自転車レースが行われるのだからと、それはもう地獄絵巻としか言いようがない。随所で落車とパンクが相次ぐ。フルームをはじめとした有力選手がここでクラッシュして総合優勝争いから脱落してきた。

2022年の第5ステージに「北の地獄」が設定された。ここがマイヨジョーヌへの第一関門だ。

2021パリ〜ルーベ
©A.S.O.-Pauline-Ballet

プロフィール

ライター/山口 和幸 Kazuyuki Yamaguchi
ツール・ド・フランス取材歴30年のスポーツジャーナリスト。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に講談社現代新書「ツール・ド・フランス」、「シマノ〜世界を制した自転車パーツ〜堺の町工場が世界標準となるまで」(光文社)。