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[CULTURE - 文化 - ]スイスに行ったら高速道路に乗るのは要注意
山口和幸の現地通信 #8

22/7/9

ツール・ド・フランス2022の開催期間中、SNSでツール・ド・フランス現地レポートをお届けしている、ライターの山口和幸さんのミニコラムをHPにてご紹介します!
CULTURE(文化)、HISTOIRE(歴史)、VOYAGE(旅)の3つのテーマでランダムにお届けします。
コラムを読んでいるだけで現地を旅する気分が味わえます。
長年現地でツール・ド・フランスの取材をしている山口さんならではのコラムをお楽しみください!


Twitterでは山口さんの現地レポートをお届けしていますので、こちらもお楽しみに! https://twitter.com/saitamacrite


[CULTURE - 文化 - ]スイスに行ったら高速道路に乗るのは要注意

フランスからスイスに入るときはたいていアルプスを越える必要があるが、2022年はレマン湖の北岸に位置するローザンヌがステージなので、アクセスは幸いなことに平坦路だ。取材陣は高速道路を使って労力を費やすことなくローザンヌに到着できるが、そこには思わぬ落とし穴がある。

ベルギーやドイツのように高速料金は無料という国もあれば、フランスや日本のように利用区間ごとに料金が設定されている国もある。スイスでは14カ月間の利用料を一括前払いしてフロントガラスにその証明であるステッカーを貼っておく。料金は40スイスフランなので、およそ7,000円だ。

ツール・ド・フランスで注意したいのは、わずか1日でもスイスの高速道路に進入したら7,000円を支払う必要があるということ。しかもフランスの高速道路が国境を越えるとそのままスイスの高速道路となる。スイスでは高速道路の出入り口にゲートがないので間違えて侵入してしまうことがある。ステッカーを購入していない外国人があとをたたず、検挙されれば400スイスフランの罰金だ。

14カ月で7,000円ならお安いが、1区間でも7,000円。スイスでは高速道路に乗らないように心がけているが、一般道と高速道路の標示看板の色がフランスとは逆なので、気づいたらスイスの高速を走っているなんてこともあった。ちなみにフランスで高速は青、一般道は緑。スイスはその逆である。

それでもスイスの山々は美しい。山岳鉄道と並行して走るコースはまるで「世界の車窓から」の番組を見ているようだ。ツール・ド・フランスのコースではない峠にも行ってみたが、スイスのみならずイタリアやドイツの走り屋たちがいっぱいいた。週末のヤビツ峠のような感じだ。こっちのサイクリストはツール・ド・フランスにはあまり興味がなくて、ただ単に走るのが好きな人も多い。

欧州の多くの国は現在EUとして統合され、国境の検問もなしにほぼ自由に往来できる。ところがやはり地形が異なるため道路構造は微妙に異なる。ツール・ド・フランスが外国に足を運んだときに、大落車がしばしば発生するのだが、選手によれば環状交差点や中央分離帯の構造がフランスとは異なっているからだという。

ツール・ド・フランスがフランスに戻ってくると、やはり道路構造やドライバーのあうんの呼吸などいつもの感じがとてもしっくりして、母国に帰ってきたような安堵感がある。ただし広いフランスなのでエリアによっては運転マナーが異なる場合も。スイスに近い地方では歩行者が交差点を渡ろうとしたら急ブレーキをかけても停車しなければならない。歩行者はクルマが止まるものだと思って横断するからだ。

欧州の道路構造における共通点はクルマが主体の国道、自転車も走れる県道などが明確に区別できること。ツール・ド・フランスはほどんと県道を使ってレースが行われるので、開催地のドライバーがどうしても移動しなければならないときは立体交差で県道をパスできるように国道や高速道路を使って移動すればいい。

スイスとフランスをつなぐ山岳鉄道。自転車を持ち込める車両がある
©Pressports.com

プロフィール

ライター/山口 和幸 Kazuyuki Yamaguchi
ツール・ド・フランス取材歴30年のスポーツジャーナリスト。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に講談社現代新書「ツール・ド・フランス」、「シマノ〜世界を制した自転車パーツ〜堺の町工場が世界標準となるまで」(光文社)。