ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム

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[CULTURE -文化-]ツール・ド・フランスの底力をついに見た!
山口和幸の現地通信 #18

22/7/21

ツール・ド・フランス2022の開催期間中、SNSでツール・ド・フランス現地レポートをお届けしている、ライターの山口和幸さんのミニコラムをHPにてご紹介します!
CULTURE(文化)、HISTOIRE(歴史)、VOYAGE(旅)の3つのテーマでランダムにお届けします。
コラムを読んでいるだけで現地を旅する気分が味わえます。
長年現地でツール・ド・フランスの取材をしている山口さんならではのコラムをお楽しみください!


Twitterでは山口さんの現地レポートをお届けしていますので、こちらもお楽しみに! https://twitter.com/saitamacrite


[CULTURE -文化-]ツール・ド・フランスの底力をついに見た!

アルプスが陽とすれば、ピレネーは陰。ピレネー山麓にあるルルドには不治の病を治す奇跡の泉がわき出るという。聖母マリアを見たという少女ベルナデットが、岩の割れ目からわき出る泉を発見。これが治癒的効果を発揮し、以来ルルドは神にすがる思いの人たちが訪れるようになった。

周囲には温泉地が幾多もあるから、やはり地底から不思議なパワーが立ちのぼっているのだろうか。世界中から敬虔なカトリックがやってくるから、それぞれの国の人たちがホテルや飲食店を営むようになった。参道の土産物屋には病床の家族に届けるためのボトルが売られる。あるいは余命幾ばくもない人がベッドのまま運び込まれる。そのシーンは人生観が変わるほどの衝撃だ。健康でいられることに感謝しなければと強く思った。

ツール・ド・フランス取材陣にとってこのルルドは宿泊施設に困らない貴重な町である。この町ならコインランドリーやスーパーマーケット、おいしいレストランの場所も知り尽くしている。パリは毎年1泊しかしないが、ルルドは2泊から3泊はする。ピレネー取材で動きやすいからだ。

2018年の第19ステージはこの聖なるカトリック教会の参道にチームバスが問答無用に置かれた。教会の前庭は関係者のビラージュ(選手村)となった。毎晩のミサでは世界中から集まった人たちがロウソクを掲げて「アベマリア」を唱えながら行進するところだ。

日本で言えば両国国技館の土俵に向かう花道。ツール・ド・フランスはなんてことをするんだと思ったが、これこそツール・ド・フランスの底力だと感じた。

ルルドのカテドラル前にツール・ド・フランス関係車両が大集合
©Pressports.com

プロフィール

ライター/山口 和幸 Kazuyuki Yamaguchi
ツール・ド・フランス取材歴30年のスポーツジャーナリスト。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に講談社現代新書「ツール・ド・フランス」、「シマノ〜世界を制した自転車パーツ〜堺の町工場が世界標準となるまで」(光文社)。