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大人も子どもも大好き!広告キャラバン隊
ツール・ド・フランスの基礎知識 #7

23/7/7

ツール・ド・フランス2023の開催期間中、SNSでツール・ド・フランス現地レポートをお届けする、ライターの山口和幸さんのミニコラムをHPにてご紹介します!
今年のテーマは、「ツール・ド・フランスの基礎知識」。星の数ほどある伝説のストーリーから、テレビに映らない舞台裏まで。
現場取材30年の記者が21ステージにわたってコラムを連載します。
長年現地でツール・ド・フランスの取材をしている山口さんならではのコラムをお楽しみください!


Twitterでは山口さんの現地レポートをお届けしていますので、こちらもお楽しみに! https://twitter.com/saitamacrite


大人も子どもも大好き!広告キャラバン隊

ツール・ド・フランスの魅力はプロ選手によるバトルだけではない。沿道のファンにとっては、レースの1時間前にやってくる広告キャラバン隊も楽しみのひとつだ。これはツール・ド・フランス名物の宣伝カー部隊。若くて元気な男女が軽いノリの音楽に乗って笑顔を振りまき、商品サンプルやキャップなどの拡販グッズを沿道にバラまきながら通過するのだ。

広告キャラバン隊はおよそ30社。近年は自然保護の観点からリサイクル素材またはリサイクル可能な素材で作られたプロモーションギフトを配布する。食品ギフトでは、パッケージが主に紙やリサイクル可能なプラスチックで作られているものが用意されるという。

ナチュラ2000と呼ばれる自然保護区、国立公園、自然保護区などでは、キャラバン隊によるプレゼントの配布は全面的に禁止。敏感な動物種のじゃまをしないように、音響機器をオフにするという新ルールが採用されている。

1930年に導入されてから、ツール・ド・フランスのショーの一部となっているほど定着している。沿道に立っていれば、このお祭りな雰囲気を30分以上にわたって楽しむことができる。隊列の総延長は10kmにもなるといい、キャラバンの前部と後部に沿道の観客の安全をサポートするインフォメーションカーが4台走行。

キャラバンを制御するために12人の憲兵隊がオートバイで誘導し、万が一のための医療車両3台も帯同する。

キャラバン隊のスタッフはみんなある意味、選手以上にタフだ。大会の中で彼らはそれほど優遇されていないので、レース後の大渋滞が緩和してからホテルに向かい、給油や洗車、翌日のグッズの補充をする。夜遅くにようやく食事にありつき、夜更けまで会話がはずむ。それでいながら翌日にボクたちが目覚めたときには、すでにスタート地点に向かっている。

各車両は日本だったら確実に認められないような装飾を施す。サンルーフや仮設ステップでダンスする若者たちは、スカイダイバーが装着するような安全ベルトと命綱で固定される。どんなに疲れていても、沿道に愛想よく手を振り、笑顔を絶やさない。

休日も振り付けのチェックをホテルの駐車場でしていたり…。華やかさの中には涙ぐましい努力がある。23日間の全日程を頑張っているのは選手だけではないのだ。

広告キャラバン隊になるのはフランスの若者たちの憧れだ。期間中はモデルやタレントのように注目される。そして華やかな世界は同時に男女の出会いの機会だ。基本的に男性運転手と後部シートなどでグッズを配布する女性という組み合わせ。カップルになるのも自然のなりゆきだ。


広告キャラバン隊 ©Pressports.com

プロフィール

ライター/山口 和幸 Kazuyuki Yamaguchi
ツール・ド・フランス取材歴30年のスポーツジャーナリスト。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に講談社現代新書「ツール・ド・フランス」、「シマノ〜世界を制した自転車パーツ〜堺の町工場が世界標準となるまで」(光文社)。