レースの見どころ
第10回大会は「タイムトライアルレース」と「クリテリウムメインレース」の2種目が行われる。
タイムトライアル
スタートからフィニッシュまでの所要時間を計測するタイムトライアルレースは、選手が1人で走る「個人タイムトライアルレース」とチーム4人が隊列を組んで走る「チームタイムトライアルレース」にさらに分けられる。
個人タイムトライアルレースには女子エリート・ジュニア・ユースU17選手、男子ジュニア7選手、パラサイクリング選手7組、そして秩父宮杯埼玉県自転車道路競走大会優勝者2選手が出場。世界選手権ロード・個人タイムトライアルにも起用された垣田真穂は、トラック種目の3km個人パシュートで日本新記録を出している。秩父宮杯エリートカテゴリーで優勝したキナンレーシングチームの山本元喜は個人タイムトライアルレース、チームタイムトライアルレース、クリテリウムメインレースと全種目に出場する。
注目選手の垣田真穂選手は2大会ぶり2回目の出場
©Yuzuru SUNADA
チームタイムトライアルレースは海外7チーム、国内7チームが参加する。レッドブル・ボーラ・ハンスグローエは2020年の東京五輪タイムトライアル金メダリストであるプリモシュ・ログリッチをはじめタイムトライアルに強い選手で構成。スペシャルチームジャパン for さいたまはタイムトライアル全日本チャンピオンの金子宗平が若手選手を牽引する。
2020東京五輪タイムトライアル金メダリスト プリモシュ・ログリッチ選手
©ASO/Billy Ceusters
タイムトライアル全日本チャンピオンの金子宗平選手にも注目
クリテリウムメインレース
クリテリウムメインレースは海外7チーム、国内7チームに所属する全選手が一斉にスタートし、フィニッシュの着順を競う。第10回大会は史上初めてさいたまスーパーアリーナのメインアリーナを通過することが最大の話題。全選手がゆっくりと出走するニュートラルスタート地点もこのメインアリーナである。
メインアリーナを通過するコース設定は大会史上初
シーズン終盤戦でもトップコンディションを維持するヤスペル・フィリプセン、キング・オブ・スプリンターのビニヤム・ギルマイ、大会初の2勝目を狙うマーク・カヴェンディッシュが有力。さらにはヴィクトル・カンペナールツが序盤から飛び出していくのか、ロマン・バルデやワレン・バルギルが山岳賞を狙ってくるのか、10大会連続出場の新城幸也がどこで勝負を仕掛けるのかに注目。
マーク・カヴェンディッシュ選手をはじめトップライダーのスプリント勝負に注目
©ASO/Charly Lopez
ツール・ド・フランスでも屋内アリーナからスタートすることがときおりある。直近では2023年の最終日、第21ステージだ。パリ郊外のサンカンタン・アン・イブリーヌにある2024パリ五輪の自転車トラック競技場から最終日の凱旋パレードが始まった。古くは今中大介氏が日本人プロとしてツール・ド・フランスに初出場した1996年、初日のスタートとなったオランダのゼルトゲンボスがアリーナだった。
ツール・ド・フランス2023 第21ステージのスタート地点は自転車トラック競技場
©ASO/ Pauline Ballet
屋内アリーナは選手との距離が極めて近く感じられ、あたかもバスケットボールやバレーボールのような臨場感が味わえる。これまでとはまた違ったツール・ド・フランスさいたまクリテリウムの観戦が楽しめることは間違いない。
文 山口和幸=ツール・ド・フランス取材記者