ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム

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#17 CHAMPION 2023 タデイ・ポガチャル(前編) 【さいたまクリテリウム歴代覇者ストーリー】

24/7/17

さいたまクリテリウム歴代覇者ストーリー

2024年に第10回大会を迎えるさいたまクリテリウム。これまで大会メインレースで優勝したのは自転車界のスーパースターばかり9選手だ。歴代王者の足跡を知ることで、さいたまクリテリウムの持つ価値観を再確認してみよう。(文/山口和幸)

Xでは山口さんの現地レポートをお届けしていますので、こちらもお楽しみに!
https://x.com/saitamacrite


CHAMPION 2023 タデイ・ポガチャル

自転車競技史上最強の霊長類、いや宇宙人(前編)

UAEチームエミレーツのタデイ・ポガチャルが2024ツール・ド・フランスでも圧倒的な強さを見せつけて、3年ぶり3度目の総合優勝に向けて順調に走り続けている。この原稿は第15ステージ、ルダンベイユからピレネー山脈のプラトードベイユに向かうコース上で書いているが、ここまでポガチャルは難関山岳コースで行われた第4、第14ステージで優勝。総合2位のヨナス・ヴィンゲゴーに1分57秒差をつけている。

すでに2024シーズンは初出場のジロ・デ・イタリアで区間6勝し、第2ステージで首位に立つと、一度もその座を譲り渡すことなく初優勝を遂げた。初日こそイネオスグレナディアーズのジョナタン・ナルバエス(エクアドル)ら3選手のゴール勝負で3位になったポガチャルだが、翌日の第2ステージで独走勝利して首位に。第7ステージの個人タイムトライアルもトップタイムで優勝し、総合2位との差を広げた。さらに翌日の山岳区間をはじめとして15、16、20ステージと過酷な区間で独走し、終わってみれば2位に9分56秒の大差をつけて総合優勝。区間6勝はあのエディ・メルクス以来の記録であり、20日間にわたってマリアローザを着用したこともメルクスと肩を並べる偉業だった。

シーズン前からジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスを連覇するダブルツール達成を最大の目標に掲げていたポガチャルは、まずは1つをクリアした。

「もしかしたらこのジロ・デ・イタリアで僕も人間としてステップアップできたのかもしれない」とポガチャル。

ポガチャルの名前が知られるようになったのは2019年のブエルタ・ア・エスパーニャだ。その大会では同じスロベニアのプリモシュ・ログリッチが大会3連覇を達成して話題をさらった。もう1人のスロベニア選手として頭角を現したポガチャルは区間3勝と活躍し、いきなり総合3位になった。第9ステージで初勝利したときは、「最終日の表彰台でログリッチの隣に立てたらうれしい」と夢を語ったが、それを実現してしまうことになる。

スロベニアの格下チームに所属していた2018年にアマチュア版ツール・ド・フランスと言われるツール・ド・ラブニールで総合優勝。2019年にUAEチームエミレーツに移籍し、このブエルタ・ア・エスパーニャがグランツール初参戦だった。

後編は明日公開!お楽しみに!



2021ツール・ド・フランス ©A.S.O. Pauline Ballet


2022ツール・ド・フランス ©A.S.O. Pauline Ballet

プロフィール

タデイ・ポガチャル

●国籍:スロベニア
●生年月日:1998年9月21日
●所属チーム:UAEチームエミレーツ(2023)
●現況:UAEチームエミレーツ所属選手
【主な戦歴】
●ツール・ド・フランス総合優勝(2020,2021)
●ツール・ド・フランス区間通算14勝(2020,2021,2022,2023,2024)※第15ステージ終了時点
●ツール・ド・フランス 山岳賞2回
●ツール・ド・フランス 新人賞4回
●ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム優勝(2023)
●ジロ・デ・イタリア総合優勝(2024)


ライター/山口 和幸 Kazuyuki Yamaguchi
ツール・ド・フランス取材歴30年のスポーツジャーナリスト。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に講談社現代新書「ツール・ド・フランス」、「シマノ〜世界を制した自転車パーツ〜堺の町工場が世界標準となるまで」(光文社)。
ダイヤモンド・オンラインにて「ツール・ド・フランス2024」現地レポートを連載中。 https://diamond.jp/articles/-/346280