#15 CHAMPION 2022 ヤスペル・フィリプセン(前編) 【さいたまクリテリウム歴代覇者ストーリー】
さいたまクリテリウム歴代覇者ストーリー
2024年に第10回大会を迎えるさいたまクリテリウム。これまで大会メインレースで優勝したのは自転車界のスーパースターばかり9選手だ。歴代王者の足跡を知ることで、さいたまクリテリウムの持つ価値観を再確認してみよう。(文/山口和幸)
Xでは山口さんの現地レポートをお届けしていますので、こちらもお楽しみに!
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CHAMPION 2022 ヤスペル・フィリプセン
シャンゼリゼの次にさいたまを制した!(前編)
アルペシン・ドゥクーニンクのヤスペル・フィリプセンが2024ツール・ド・フランス第10ステージで今大会初、大会通算7勝目を挙げた。平坦ステージ特有のゴールスプリント勝負となり、世界チャンピオンのチームメート、マチュー・ファンデルプール(オランダ)に牽引されたフィリプセンが得意とする残り距離からスパートすると、ライバルたちは手も足も出なかった。まさにチームプレーによる勝利だった。
フィリプセンがツール・ド・フランスで初優勝したのは2022年の第15ステージ、猛暑となったロデズ〜カルカッソンヌ間の距離202.5kmだった。ゴールスプリント勝負を持ち前の爆発力で制したのだが、このとき24歳。さらに最終日、シャンゼリゼのゴールでもフィリプセンが持ち味を見せ、大会2勝目を挙げた。
その年の秋には3年ぶりの開催となった2022ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムに参戦した。2022総合優勝ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ)、2018総合優勝のゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ)との3人のゴール勝負となり、フィリプセンがスプリント力を発揮して初優勝した。パリ・シャンゼリゼに続く栄冠を獲得することになる。
「シャンゼリゼとは異なるコースだったけど、スプリントには自信があるのでそれを生かすことができてよかった」とフィリプセン。
フィリプセンは来日に際して、当時としてツール・ド・フランス最多タイのステージ通算34勝を挙げていたマーク・カヴェンディッシュ(クイックステップ・アルファビニル)と、2019年のさいたまクリテリウム優勝の新城幸也(バーレーン・ビクトリアス)の3人でクリテリウムレジェンズという特別編成チームの一員としてとして参加した。新城は「チームの結束力を高めるためにみんなで日本観光した」という。フィリプセンは初来日だったが交通系アプリのPASMOを駆使し、中野ブロードウェイや渋谷のスクランブル交差点を訪ね、寿司屋の大トロに舌鼓をうったという。
「日本は親切な人が多く、とても楽しかった。さまざまなことがベルギーとは異なって興味深かった。お互いをリスペクトする気持ちがある日本人のメンタリティはいいなと思った。国籍を変えたいくらいだよ」とフィリプセンはさいたまで語っていた。
「世界のトップクラスに位置するクールな選手たちと戦うことができて貴重な経験ができた。いいシーズンだったと思うけど、ボクはもっと成長していきたい。最終的なゴールはツール・ド・フランスで勝つこと」
後編は明日公開!お楽しみに!
2022さいたまクリテリウムで優勝したフィリプセン ©Yuzuru SUNADA
2022ツール・ド・フランスでゴール勝負を制した ©A.S.O. Charly Lopez
プロフィール
ヤスペル・フィリプセン
●国籍:ベルギー
●生年月日:1998年3月2日
●所属チーム:アルペシン・ドゥクーニンク(2022)
●現況:アルペシン・ドゥクーニンク所属選手
【主な戦歴】
●ツール・ド・フランス区間通算2勝(2022)
●ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム優勝(2022)
●ツール・ド・フランス区間通算4勝(2023)
●ツール・ド・フランス ポイント賞(2023)
●ミラノ〜サンレモ優勝(2024)
●ツール・ド・フランス区間通算1勝(2024) ※第11ステージ終了時点
ライター/山口 和幸 Kazuyuki Yamaguchi
ツール・ド・フランス取材歴30年のスポーツジャーナリスト。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に講談社現代新書「ツール・ド・フランス」、「シマノ〜世界を制した自転車パーツ〜堺の町工場が世界標準となるまで」(光文社)。
ダイヤモンド・オンラインにて「ツール・ド・フランス2024」現地レポートを連載中。 https://diamond.jp/articles/-/346280